なる研電子工作小品集>窮鼠Andante(ライントレースロボット)

ライントレースロボット窮鼠 Andante

ライントレースロボット JMCR(JapanMiconCarRally)2005に出走しました

コース長が約60mと比較的大型のロボットが集うライントレース大会マイコンカーラリー規格のライントレースロボットを作ってみました。ただ作ったのでは面白くないのでできる限り小さく作ります。今回は電池込み152gに出来ました。

基本構造は去年の窮鼠Largoと同じなので、変更点と蛇足だけ書いときます。

車 長88mm(センサ込み) 駆動モータ田宮パワーダッシュモータx2
車 幅136mm 駆動系電圧1.2V NiCd電池 2cell直列 1.8〜3.1V
車 高33mm 制御系電圧駆動系電圧を昇圧 5V
重 量電池抜き:105g 電池込み:152g ギヤ比8:30
ロータリエンコーダ分解能:11[mm/pulse] 2個 タイヤ、ホイール田宮レストンスポンジタイヤ
ラインセンサTPS612,TLN113 アナログ 5組 有効範囲:50[mm]、分解能:0.065[mm/step]

●ラインセンサ

自機位置とセンサ値演算値  去年Largoでは、センターラインを見るセンサが2組しかなく、有効範囲が25[mm]と狭かったので、すぐにセンターラインを見失い、すぐにライントレースを諦めてしまう根性なしでした。
 今回Andanteでは5組のアナログセンサの値から、3本の有効範囲帯を取り出し、それらを滑らかに繋ぎ合わせることで、よりフラットな有効範囲を768[step] 50[mm](分解能0.065[mm/step])確保し、安定して粘り強くライントレースできるようにしました。
 リニア化のアルゴリズムは、まず、一番明るいセンサを探し、次に、その右左隣で右と左の差を取る、それから、誰が一番明るいかに応じて十分滑らかに繋がるようなオフセットを加えてやる、というものです。ココで言うオフセットはy=ax+bのbに当たる値で、((繋ぎ目値)+(一階微分値))です。

●いんたーふぇーす4

いんたーふぇーす4  これもパワーアップしました。各値を、4bitずつ4回に分けて送ることで、16bitで見られるようにしました。
 windows側のソフト開発はフリーのActiveBasicです。

●その他変更点

 信号配線の太さを0.3[mm]から0.12[mm]のものに変更。
 シャーシを肉抜き。
 トランジスタによるFETドライバ回路追加。
 モータをパワーダッシュ\350に。適正負荷:16[gf*cm] 同回転数:19900[r/min] 同消費電流2.5[A]

●電池はニカド

電池  規則で単3と定められているので、電池の候補は、オキシライド、ニッケル水素(NiMH)、ニッカド(NiCd)、です。窮鼠はモータ2つが合わせて定格5[A]ピーク20[A]を要求し、5[V]昇圧DC-DCコンバータは1.5[V]以上を要求します。
 そこで、単セル電池を100[mΩ]抵抗で放電して、内部抵抗による電圧降下がどれだけあるか、10[A]時に何V取り出せるか、実験しました。結果、オキシライドはぶっつけ0.9[V]を下回ってしまいましたが、NiCdは4分、NiMHは8分間1.0[V]以上を維持していました。
 一見NiMHがよさそうに見えますが、NiMHはNiCdより8[g/本]も重く、100[g]代の窮鼠には、加速減速姿勢制御性能で大きく影響します。それに、1分もあればゴールできるので、それを超える容量は無駄な質量となります。そんなわけでNiCdにしました。ニカドが流通しなくなってきてるようなのでココに宣伝しときます。

●微分制御

 微分と聞くとナニヤラ難しそうですが、センターラインを外れる速さを見ているだけです。
 例えば、25[ms]毎に制御量(車体に与える力)を更新するとします。で、今、右に10[mm]ズレているとします。単純な比例制御は左への力を要求します。しかし、0.5[mm/ms]の速さで中央に向かっているとしたらどうでしょう?次回の制御量更新時、25[ms]後には中央を越えて左に10-0.5x25=2.5[mm]ズレる事が予想できますね。なので、本当は右への力を与えてやらないといけないのです。
 なので、微分制御を導入すると、頭を左右に振って進むという見苦しいライントレースでなく、滑らかにライントレースしてくれます。
 これが微分制御です、たぶん。この味噌はズレの量だけでなくズレる速さを見てる所です。これを旨くプログラムにしてやります。詳しくは速さでなく、運動量なのですが、合体したりしないので速さで好いかなと。

●マイコンカーラリー南関東地区大会

 予選は2回走らせて良い方のタイムが32位以内なら決勝に参加でき、決勝はトーナメントで、2台同時に走らせて周回遅れはゴール前でも負け、という仕組です。
 予選1回目、去年の経験から完走すれば決勝トーナメントに進めることを知っていたので、極低速に設定して完走できました。55.28秒。予選2回目、完走できたので、スピードを上げましたが、途中で逆走してしまい失格(笑)。粘り強いライントレースの成果です、たぶん。
 決勝トーナメント、2回目の失敗から微分ゲインをあげてみました、より安定しましたが、半周する前に相手の日産テクノTECHNO01に追いつかれ(周回遅れ)、取り上げてしまい、タイムは出ませんでした。結局、予選1回目のタイムで一般参加45台中15位ということになりました。
 大会時のファーム 1017_kyuso_andante.c.txt

 本番より少しきつめのテストコースを【tgif】で書いてみました。A3のPDFです。
ストレート カーブ(中心半径44cm) クロスライン クランク

 今回、時間と勇気の不足により、速度の制御を実装できませんでした。これができればもっと安定するはずです。 あと、DC-DCコンバータを高効率化して、モータにプラズマダッシュ\800を使いたいです。 それから、タイヤがスリップするので、モータを強化する前にグリップを上げるか、スリップを考慮した制御するかしないとダメです。
 Allegro(アレグロ)やらVivace(ヴィヴィーチェ)やらが出るかは気分次第ということで。

ライントレースばらばら ライントレース マイコンカーラリーっぽいコース
ライントレーサ ライントレーサ ライントレーサ
ドライバ保護ロジック

FETドライバ
ライントレースのシャーシ

ラインセンサ
ライントレーサ

モータドライバ

H8 CPUボード各ピンの割り振り
J1 1VccCPUへ電源供給
2P77/AN7電池電圧監視
3P76/AN6NC
4P75/AN5ラインセンサF
5P74/AN4ラインセンサE
6P73/AN3ラインセンサD
7P72/AN2ラインセンサC
8P71/AN1ラインセンサB
9P70/AN0ラインセンサA
10GNDNC
J2 1VccNC
2PA7/TP7/A20/TIOCB2左ブレーキ
3PA6/TP6/A21/TIOCA2右ブレーキ
4PA5/TP5/A22/TIOCB1CPU出力バッファ動作許可
5PA4/TP4/A23/TIOCA1左モータ(PWM)
6PA3/TP3/TCLKD/TIOCB0CPU出力バッファ動作許可
7PA2/TP2/TCLKC/TIOCA0右モータ(PWM)
8PA1/TP1/TCLKB左ロータリエンコーダ監視
9PA0/TP0/TCLKA右ロータリエンコーダ監視
10GNDCPUへ電源供給
J3 1VccNC
2PB7/TP15/DREQ1/ADTRG両ロータリエンコーダ動作許可
3PB6/TP14/DREQ0NC
4PB5/TP13/TOCXB4ラインセンサF LED
5PB4/TP12/TOCXA4ラインセンサE LED
6PB3/TP11/TIOCB4ラインセンサD LED
7PB2/TP10/TIOCA4ラインセンサC LED
8PB1/TP9/TIOCB3ラインセンサB LED
9PB0/TP8/TIOCA3ラインセンサA LED
10GNDNC
J8 13P53/A19PUSH SW
14P52/A18PUSH SW
15P51/A17PUSH SW
16P50/A16PUSH SW
SW 1P63/ASDIPSW MSB
2P62/BACKDIPSW
3P61/BREQDIPSW
4P60/WAITDIPSW LSB
材料
名前 価格
電解コンデンサ47uF 150
74HC08 140
74HC241 150
チップトランジスタ2SC3325230
チップトランジスタ2SA1313230
セラミックコンデンサ10nF240
Pch FET J439 2400
Nch FET K2956 2500
パワーダッシュモータ2 700
真鍮ピニオンギア 2 20
ミニ四駆平ギア 2 ?
ミニ四駆6角シャフト 2 ?
レストンスポンジタイヤ 2 300
小径ホイール 2 200
ボールベアリング 4 600
秋月B基板 2 220
焼肉のたれ容器 10
フォトトランジスタTPS6127420
赤外LED TLN113 5300
ジャンクマウスの赤外LED 2100
1000mAh NiCd電池 61800
単3電池ホルダ 120
ピンヘッダ プラグ 30列100
10uFチップ積セラコン360
100uF電解コン 240
コイルコア 180
トランジスタ2SC1815 110
トランジスタ????? 1400
3端子レギュレータS813 50HC 150
チップ抵抗 1717
チップ積セラコン 100nF33
直径2mmUEW 適量5
直径0.3mmUEW 適量5
直径0.12mmUEW 適量5
エポキシ樹脂接着剤 適量100
ほっとボンド樹脂 適量20
半田 適量10

だいたい合計 9000

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LastUpdated 2004/10/25
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