なる研電子工作小品集>トレース台

クリック拡大 トレース台の製作

 前から作ろうと思っていたトレース台、爆様からの受注をきっかけに作り始めました。冷陰極管光源光量無段階調節のA4サイズを作ります。

 「ライトボックス(12900)」「ライトテーブル(1810)」「トレースボックス(434)」「透写台(293)」などいろいろな名前がついてますが、透写するとき使う天面が光る道具です、うちでは絵のトレース用であるためと、箱(box)と呼ぶほど厚みがないので「トレース台(3770)」と呼ぶことにしてます。(カッコ内はgoogleヒット数。)

光量無段階調節冷陰極管光源トレース台基本材料費
価格部品入手元
1003端子レギュレータ(電圧可変型) NJM317F秋月
80500Ω3端子可変抵抗秋月
1025V 47μF電解コンデンサ千石
1025V 0.1μFフィルムコンデンサ秋月
30DCジャック秋月
850スイッチングACアダプタ 15V/0.8A秋月
80023cmバックライト+インバーターA秋月
80023cmバックライト+インバーターB秋月
800A4+α 透明ガラス板(額縁)ビバホ
100ガラス縁保護用アルミテープダイソ
400フレーム木(20x10x80)x2ビバホ
3980  合 計(税抜)
+ 400放熱ファン(熱くなるようなら付ける)秋月
webを廻って情報をあ集めたところ、以下のような声が聞こえました。
 †トレース面に凹凸(ネジ穴等)があると邪魔。
 †長時間使用すると表面が熱くなる、最悪描いてる紙が反る。
 †台に厚みがあると描きにくい。
 †明るすぎると目に悪い。
 †暗いとトレースしにくい(部屋を暗くするから目に悪い)。
 †熱陰極管(普通の蛍光灯)はちらついて目に悪い。
 †冷陰極管は熱陰極管よりも多く発熱する。
 これらの点に留意して仕様を設定すると、光量調節、薄型(25mm以内)、熱陰極管光源、となりますが、熱陰極管の直径は約30mmで「薄型(25mm以内)」との両立が難しくなります。そこで光源は細い冷陰極管とし、放熱機構を設けました、熱くなるかどうかは流体力学の世界ですのでTRY&ERROR(?)でいきます。
 天板は、カッターを使っても傷がつかない、圧力を加えても変形しない(やりすぎると割れますが;汗)、安い、ことからアクリルよりもガラスをえらびました。
 傾斜を付けると書きやすいという意見も有りましたが、それは「台が厚くて描きにくい」への対策なので薄いトレース台には必要ないです。
この仕様で見積もると右表のようになりました。



入手したディスプレイ Canon FLCD 15CO1 A2-4501
クリック拡大  …と、ここまで進めておいて別の案が浮かんでしまいました。それは液晶ディスプレイのバックライトモジュールを使おうというものです。これなら東急ハンズライトボックス(最下部リンク参照)に勝てそうです(何で?)

●分解と解析
 早速とあるルートから壊れた液晶ディスプレイを\2140(本体\800,送料\1340)で取り寄せました、届いたら即分解…「でかい」。インバータ基板がでかい、導光版がでかい、電源がでかい。まさかここまで大きいとは、ノートPC用のバックライトにすればよかったと後悔。
 開けると右に液晶制御基板、左にインバータ基板、その裏が導光板と液晶、下部に電源という非常に解りやすいレイアウトです(右上図)。
クリック拡大 クリック拡大  ●動作確認 先ずはこの状態でバックライトを点灯させることからはじめます、 基板を見つめていると制御基板からインバータ基板へ4本のリード線と制御基板側のコネクタ付近にフォトカプラらしき物を発見しました、フォトカプラの出力側を120Ωの抵抗でバイパスして電源投入すると点灯成功しました、ん?暗い?液晶が黒を表示しているのでそれもそのはずです、液晶をはずすとなかなの明るさになりました。残りの2本は、直接テスター(抵抗計)を繋げて本体右側にあった光量調節ボリュームらしきものをぐりぐり回してみるとテスターの値が0.3〜1000Ωで変化しました、つまりここに1kΩの半固定抵抗をつければいいわけです。
クリック拡大  ●切れてる? 導光板から陰極管を外して再び点灯させると左右の短い2本は点灯するが上下の長い2本が点灯しないことがわかりました、よく見ると端が黒くなっています、抵抗値を計ると∞Ω、切れてる?残りの2本だけでも十分明るいので切れてるのは破棄。中古だから予想はしてましたが、(店で)隣に並んでたのは切れてなかったかなと考えてしまいます。
 ●電源 出力コネクタを電圧計で計ったところ、1番ピンから 0V,5V,0V,5V,10V,15V,24V,32V とバラエティーに富んだ電圧が出てました。インバータに供給されてるのは24V、電流は電源投入時1秒間だけ2A、その後1Aで安定します。つまりこの電源の出力は48W以上です(1秒もあるのでピーク出力値ではダメです)、千石で小型のものがないか調べると、ありません、大きいものは\1Kオーバーの価格。仕方が無いので元の電源を採用しました。

クリック拡大 ●再構築
 取り出した導光板と冷陰極管を木枠の中に入れてやります。
 電源とインバータはだいぶ大きいので外付けにします、インバータと陰極管は8芯で減衰も少ない(=ノイズ撒き散らさない)LANのUTPケーブルで繋ぎます。一応脱着できるようにコネクタを設けました、感電の恐れ(400V)があるのでインバータ側がメスになります。ピン配置は逆接続しても正常に動作するようになっています。
クリック拡大  ●サイズ
 厚さは当初の目標を大きく上回り(下回り?)21mm、発光面はB4+α、天板はA3+αです。天板のガラスと冷陰極管の間は3mm程あいているので天板はほとんど熱くなりません。
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 ●光量調節
 右は露出一定かつ色補正なしで撮った写真を1枚に合成した物です。  上から抵抗を0Ω,250,500,750,10k,電源off、にしたもので、左側が薄い紙,中央が何も乗せず,右側が厚めの紙です。 この間を無段階で調節できます。
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 ●プリズムシート
 このシートは光をトレース台の発光面に対して垂直方向に集めてくれます。 光は直進するのでこの集められた光は直接目に入りません。そのため何も置いてない領域が暗く見えます。 しかし、光が紙に当たるとそこで光が拡散するので、光は目に入る角度にもとんでいきます、そのため紙を置いた領域は明るく見えます。 なので、紙が発光しているように見えます。
 左の写真は台の端に垂直に立てた紙を横から撮った写真で、左側がプリズムシート有り、右側が無しです、使用者は写真の左側から発光面を見て作業します。 その下の使用者の目線の写真のから何も置いていない領域よりも紙を置いた領域のほうが明るく見える事がわかります。
 よーするに、小さい紙でもまぶしくない、それでいて明るいという便利なものです。
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●後記
トレース台材料費
価格部品
2140液晶ディスプレイ
1250A3額縁
160桧木材900x10x15
65桧木材900x10x5
570UTPケーブル
300釘ボルトナット
150ACコード2P→3P
4605 合 計(外税)
 額縁に付属していたアルミ製の枠を装着すると微妙に高級感が漂いはじめました、(ページ最上部画像)それと対照的にインバータ基板はティッシュボックスの中へ(^^)
 あと、写真を撮るとき逆光になってしまいだいぶ苦労しました、天井300W+机30W+特設20Wの蛍光灯で照らしてやっと釣り合いが取れた感じです。
 写真の絵を見て気付く方もいると思いますが、naruはトレースしないです、消しゴムを多用して線を絞ってからPCに取り込んでペジェ曲線で攻めてます、写真はイメージということで。
 材料費は右のようになりました。

●関連サイトと参考にさせていただいたサイト(直リンク失礼します)。
 (自作記事) 第一回 ThinkPad760EL達  基礎から始める自作PC  (自作記事) ライトボックス Byふにょ様  TOP ほのぼの庵
 (自作記事) 自作とれーすぼっくす BySUIKYO様  TOP SPEAKEASY
 (自作記事) 貧しい工作#1トレス台 By Key様  TOP 電脳ちぃふぁランド
 (自作記事) 薄型トレースボックスの製作 By head様  TOP DVD ManiaX 2nd(04/08/26加)
 (自作記事)【改修中っぽいです】 水冷式トレス台 By 赤Marl様  TOP スーパー画材開発日誌
 (トレース台について)  トレース台あれこれ By秋津島様  TOP 風の碧、海の翠
 (冷陰極管について) 冷陰極管と熱陰極管
 (冷陰極管について) 液晶バックライト用ペンシルインバータ
 (冷陰極管販売) マルカ電機工業
 (既製品)  東急ハンズライトボックス A4  Too トレスボックス  ComicMasterTracer  マクソントレーサー  ランプシート【厚さ5.5mm】



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